03 CLIMATE Part Ⅱ
ー 風景のはじまり ー
exhibition @graf porch
※このイベントは終了いたしました。
お越しいただいたみなさま、ありがとうございました。
日時
2025年7月5日(土)〜 13日(日)
午前11時30分〜午後6時
定休日 7月7日(月)
場所
graf porch
〒530-0005
大阪市北区中之島4-1-9 graf studio 2F
06-6459-2082
date
2025.7.5.sat.– 7.13.sun.
11:30–18:00
Closed on Monday, July 7
place
graf porch
graf studio 2F, 4-1-9 Nakanoshima Kita-ku Osaka,
530-0005, JAPAN
+81(0)6 6459 2082
2023年の展覧会からさらにリサーチを重ねた「elements 03 CLIMATE Part Ⅱ 一風景のはじまりー」を開催します。
地球は東西南北で気候が異なり、それらに適応するように様々な植物や動物が暮らしています。また、海沿い、平野、山腹などの地理的条件によっても自然環境は異なり、それに応じて生息する動植物も異なります。こういったダイナミズムは、地球上で最も尊いことのひとつです。それと同様に、このような異なる自然条件に果敢に挑み、環境と折り合いをつけながら暮らす土地土地の人々の営みにもまた強い敬意を抱かされます。現在の「風土」「土地柄」といわれるもののほとんどは、長い歳月をかけて人々が気候条件に向き合い、乗り越えてきた歴史によって形作られてきたものであり、それらは永久保存版の人類の偉業であると考えます。
気候が生み出した諸条件とそれに順応してきた人間の営みをリサーチし、知恵の保存とアップデートを探るCLIMATEは、数年にわたる継続的なプロジェクトとして展開をしており、第2回目となるgraf porchでの展覧会では、メンバー3人がCLIMATEというテーマに向き合い、それぞれの感性で編み直し、再構築した断片を展示します。
elements 03 CLIMATE Part II – Beginning of Landscape
We are pleased to present “elements 03 CLIMATE Part II – Beginning of Landscape,” a continuation of our exploration and research since the 2023 exhibition.
As we see different climates depending on the space we inhabit on this planet — as in north, south, east and west — various plants and fauna have prospered in environments best suited for them. Moreover, the natural environment will change according to geographical conditions, such as the coastline, the valley or the hillside, where animals and plants have adapted to survive in different conditions. Such great wonder is definitely one of the most precious things we can find on this earth.
At the same time, we cannot help but feel a strong respect for the people who inhabit those areas, boldly challenging to live in diverse natural conditions, finding ways to coexist with their environment.We could also say that most of what we now call “(cultural) climates” or “(local) characteristics” have come as a result of the people adapting to different conditions in such climates over a long period of time, facing and overcoming the challenges of their environment — and to even go so far as to say that they are nothing short of the “great steps” made by mankind that deserve to be passed on and preserved over time.
Therefore, as the third element, we have set out to research the human behavior that had brought people to adapt to conditions in different climates, and explore how we could preserve and update the wisdom laid out before us.In this second exhibition at graf porch, we will show new work that represent our visions on the “CLIMATE” interpreted, reinterpreted and reconstructed through the sensibilities of the three members of elements, as the next step in tackling this vast and evolving theme.





【 溜まり、繁り、やがて潜む 】
前回は、大阪郊外の北摂地域に点在する溜め池のまわりを歩きながら、現代の街では感じにくくなっている気候や風土とのつながりを見出せないかと、写真を撮り続けました。
惹かれたのは、居心地よく整備された明るい池ではなく、植物が鬱蒼と茂り、向こうには何があるのだろうと思わせるような、暗がりを抱えた場所。そこに、人が土地を耕し、水を溜め、自然の循環とともにあった時代の気配が残っているように感じました。
今回は、そうした風景とそこで得た感覚を手がかりに、この土地に宿る固有性とは何かについて考えてみました。水や土、空気や時間の「溜まり」、そのまわりに生まれる植物の猛烈な「繁り」、そして、その奥に姿を見せずに「潜む」何か。流れと淀み、明かりと暗がり、こちらと向こう――日本の風土に根ざした、こうしたあわいの中に、目に見えぬ何かが棲んでいるのではないかという想像力さえ立ち上がってきます。
溜まり、繁り、やがて潜む。展示では、この言葉に辿り着くまでに描いたスケッチと写真、そして、この言葉を頼りに制作したオブジェを通して、「風景のはじまり」に触れていただければと思います。
― Masahiko Inoue 井上真彦





【 Lack of Water : 乾燥地への旅を通じての考察 】
「気候に対応するための人類の知恵や工夫」ということをワールドワイドな視点で考えたときに、温暖湿潤な日本を飛び出して全く気候条件の異なる土地をリサーチする必要性を感じました。
例えば、日本の伝統的な住居は、冬の寒さを凌ぐことよりも夏の湿気を逃がすことに重きを置いた造りになっています。
寒さよりも湿気が溜まることの方が生きる上でのリスクが大きかったからでしょう。
では、例えば年中乾燥しているような国や、雨季と乾季がはっきりしている国では、暮らしを営む上でどのようなことに重きを置いているのでしょうか?
そういったことを肌で感じたくなり、2025年1月に西アフリカのベナンと北アフリカのモロッコを旅しました。
旅を通じて様々な気付きがありましたが、焦点を「気候」ということに絞り解像度を上げていくと、雨(水)が不足していることが、食生活やものづくり、ありとあらゆる生活様式、ひいては文化や思想形成に、いかに大きな影響を与えているかを実感させられました。
今回の展示では、乾燥地への旅を通じて得た学びをまとめた資料と、その気付きを元に様々なスタディや実験を行った集積をお見せできればと思います。
― Yosuke Okita 置田陽介





【 SLOPE : Steep Land, Slanted Lives
斜め/傾斜地集落の起こりと営み 】
にし阿波(徳島県西部地区)の面積の約87%は森林で占められており、これは全国平均の66%を大きく上回ります。山間部では平地が少ないため、集落は傾斜地に張り付くように点在し、場所によっては傾斜角が40度にもなるところもあります。
こうした地形では、南向きの斜面と北向きの斜面がそれぞれ「ヒノジ(日の地)」と「カゲジ(陰地)」と呼ばれています。傾斜がきつく日当たりの良い南向き斜面は「ヒノジ」、日当たりが悪く勾配のゆるやかな北向き斜面は「カゲジ」とされ、栽培される作物にも違いが見られます。
「ヒノジ」では、雑穀や野菜類、サツマイモ、果樹などが栽培されやすく、一方「カゲジ」では、ぜんまい、こんにゃく、みょうがなどが作付けされ、勾配を活かした稲作も行われています。
このような傾斜地に人々が住み始めたのは、およそ3,000年前の縄文時代後期と考えられています。古くから受け継がれてきた農業や山仕事により、集落の人々は一日の大半を傾斜地で過ごしており、彼らに話を聞くと、皆口をそろえて「平地は歩きにくい」と笑いながら語ってくれました。
自らが暮らす平地から、“斜めで生きる知恵”をもつ傾斜地の集落へと通いながら、前回から継続して取り組んでいる「傾斜地集落の起こりと営み」を「斜め」という視点を軸としたスケッチやオブジェへと置き換え、考察を深めていきます。
― Michio Yokoyama 横山道雄
■期間中にギャラリーツアーを開催いたします。お申し込み不要でご参加いただけますので、直接会場にお越しください。
開催日|2025年7月5日(土)16時スタート
ガイド|elements(井上真彦・置田陽介・横山道雄)・graf 服部滋樹
開催日|2025年7月12日(土)16時スタート
ガイド|elements(井上真彦・置田陽介)
参加費|無料
参加方法|お時間になりましたら直接会場にお越しください。